インテリムのモニターに聞いてみた ―”当たり前”の変化と広範囲へのアンテナ―

今回は、前回に続いて、当社の再生医療開発領域モニター、K.IさんとK.Oさんへのインタビューをお届けします。

前回の記事「症例登録への工夫、コロナ禍への順応」では、お二人が担当した試験実施の難しさや苦労した点、それらをどのように乗り越えたのか、どのような工夫を行ったについて聞いてみました。(前回の記事はこちら→ ―症例登録への工夫、コロナ禍への順応―)

今回は、試験を進める上で新型コロナウイルスの影響をどれほど受け、どのような工夫や変化があったのか?について聞いてみました。

是非ご覧ください!

 コロナ禍で、この試験を進めるために今までとは違うやり方で行ったことはありますか?

そうですね、この試験では定期的に日本各地の学会開催日に合わせてオフライン(Face to Face)でInvestigator’s Meeting(試験に関する勉強会、以下IMと称する)を開催していました。

コロナ禍によって集会自体ができなくなってしまいましたが、会自体を中止するのではなく、オンラインでの開催へと開催方法を変更しました。

その際、オンライン開催で使用するツールについて、どのツールを使えば医師の方々が参加しやすいのか等も考慮しながら、オンライン開催へと移行をしました。

例えば、Zoomが使用しやすいという先生もいますし、Webexの方が慣れているという先生もいらっしゃいます。細かい点ですが、我々もいろんなツールに精通して、こういったところでも、色々なご要望にお応えしようと思っています。

オンライン開催だと参加率が落ちる、といったことはないのでしょうか?

いえ、オンラインで開催をすることにより、オフラインで開催をしていた時よりもご参加いただける先生方の人数も増えたように感じています。

やはり、移動の時間がなくなり、その会の時間だけを確保すればいいというのは、先生たちにとっても、大きいのだと思いますね。

それだけ先生たちが参加しやすいのでしょう。これもオンライン開催のいい効果だと思っています。

コロナ禍で集会ができないから中止という選択ではなく、オンラインでの開催に踏み切ってよかったと、思っています。

IMを頻回で行うことに、何か狙い等はあるのですか?

IMは治験開始時に1度開催することが一般的ですが、今回の試験では3~4か月に1度くらいの頻度で開催をしています。

この頻度でIMを開催する意図としては、先生方に対して試験に関する理解や治療手技をやってみての所感や注意点、治療後の経過などを共有していただく機会を多く提供し、安心して症例組み入れに取り組んでいただけることと手術手技の理解を通して、症例のイメージの幅を広げていただくというのを目的としています。

実際に、このIMへ参加されたことがきっかけで、求める症例のイメージがクリアになったことで症例組み入れに対してさらにご尽力いただいた先生方もいらっしゃいました。

 新型コロナウイルスの流行前よりも特に気を付けていることはありますか?

新型コロナウイルスが流行してから既に1年以上が経過したので、先生と直接お会いすることができない、施設には直接行くことが出来ないということを前提に、その上で何が出来るのか?と常に考えるようにしています。

端的に言うとタイミング……いえ、限られた時間でより成果を出すという意識が強くなりました。

コロナ禍になり、Webを通したコミュニケーションツールで、直接施設に訪問する機会が減った、というのは確かなのですが、それでも訪問する必要がある場合もあります。

その機会は限られているので、その時間でどれだけ成果を上げるか、もしくは代替の手法を用いて工夫をする、というところですね。

例えば、施設に訪問ができずにカルテを直接閲覧できない、という場合もあります。

その場合、私が行っていることとしては、CRCさんにこまめに電話をかけ、実際のカルテにどのような記載があるかを細かく確認するということです。

施設に伺えない代わりに、こまめなチェックをする、ということですね。

ただ、モニターとして実際のカルテを確認して整合性の確認をすることは、非常に重要な業務です。

そのため、施設に訪問できないことは当たり前として、各施設の訪問制限をしっかりと把握したり、比較的感染者が少ない時期や緊急事態宣言が明けたタイミングを逃さずに、各施設に「今であれば、実際に訪問をしても良いですか?」と、これもまた、こまめに問い合わせをするようにしています。

コロナ禍を経験して身についた、新たなモニターとしての考え方や業務への向き合い方があれば教えてください。

K.Iさん:施設に行けないことが当たり前という前提を常に持ち、GCP上行わなくてはいけないことをどのように満たしていくか、モニタリングをどのように行っていくか、等のアイデア探しのため、広範囲にアンテナを張るように心がけています

例えば、先ほどのWebコミュニケーションツールの選定1つにしても、これまでモニタリングとは違うジャンルの知識だから知りませんでした、ではなく、もっと様々な分野の知識を仕入れようという意識は、強くなりましたね。

また、電子的に行えることは積極的に電子化するように検討したり、モニタリング手法のデジタル化を加速させて行く意識が強くなりました。

K.Oさん:モニターとして、業務そのものだけでなく、時間の流れや世の中の情勢そのものを読んでいくことを大事にする意識をしています。

緊急事態宣言も出る県出ない県ありますし、もちろん施設によっても考え方やスタンスは、微妙に異なる場合があります。そういったことは、自らどんどん情報収集していかないと、気が付かないことだったりします。

また、施設に訪問ができた際は、1回の訪問でどれだけ成果をだすことができるか? という質の部分に対して新型コロナウイルス流行前よりも更にこだわるようにしています。

これまでも十分に気を付けてはいましたが、訪問の前準備というものをさらに綿密に行い、一度の訪問でどれだけ疑義事項を減らせるかという質の部分にこだわるようにしています。