インテリムのモニターに聞いてみた ―用意するのは、簡易トイレまで!? ウイルス製剤試験の難しさ―

今回は、当社のオンコロジー領域を担当するモニター、T.Tさんと、A.Iさんにインタビューを行いました。(※A.Iさんには次回記事より登場いただきます)

お二人が経験したウイルス製剤試験にフォーカスをし、試験実施の難しさや苦労した点、それらをどのように乗り越えたのか、どのような工夫を行ったのか?

また、この試験を経験してどのようなことを学んだのか?について、聞いてみました。

その模様を全2回に分けてお届けをいたします。

是非ご覧ください!

まず最初に伺います。今回、ウイルス試験ということで、通常の試験とはまったく違うこともあるかと思いますが、ウイルス試験特有の苦労や他の試験との違いを教えていただけますでしょうか?

T.Tさん:ウイルス試験が、再生医療等製品という比較的新しい分野の試験であるということと、感染対策を要するということの2つが他の試験との違いであり、困難であった点だと思います。

特に感染対策を要するという点が特殊で、後で申し上げますが、如何にウイルスの拡散を防ぐか、そして、施設の関係者(看護師さんやそのほかの部署)といった通常の試験よりも広範囲の方々に試験の手順を納得していただく必要がある、という面で通常とはかなり違ったものになりました。

それでは最初に、再生医療等製品を使用した試験とその他の試験を実施する上での違いを教えていただけますか?

T.Tさん:はい。再生医療等製品の試験は、まだ実施したことがない、という施設が多くあるんです。

そのような施設には、もちろん再生医療等製品の試験を行うにあたって必要になってくるSOPがない施設もあるため、それらの整備をサポートすることから始めることになります。

初回申請(IRB)までには、SOPが必要になってくるので、こちらからSOPに盛り込むべき内容の情報を提供し、それを施設内で検討いただき、不明点等の相談を都度インテリムで受け、最終的に承認まで進めていただきました。初回申請までに揃えるものが多いものですから、スピード感がかなり求められました。

再生医療等製品のSOPが無い施設には、SOP改訂をインテリムがフルサポートすることが多いんですか?

T.Tさん:はい、そうですね。今回の施設でも、そのように対応をしました。

再生医療等製品のSOPが無い施設では、その施設の医薬品や医療機器のSOPの内容と、施設の改訂方法の手順や要望を確認し、再生医療等製品試験が円滑に実施できるように改定にあたってのサポートしました。その際は再生医療製品GCPの条項を細かく確認して実施しています。

どの施設でも医薬品医療機器に関するSOPは整備されているのですが、

私が施設立ち上げを経験した時点では再生医療等製品のSOPがないという施設が多くありました。

その施設で再生医療等製品の試験を行ったことがなければ、SOPが整備されていないことが普通なんです。

初めて再生医療等製品の試験を実施する場合、施設内で整備してSOPを作るのですが、作成にあたって必要な資料や情報をインテリムから提供し、スピーディーに完成するよう、お手伝いをさせていただきました。

ウイルス試験を実施する上で一番難しい点はなんですか?

T.Tさん:感染対策について定められたカルタヘナ法を順守して、医療機関内で試験を実施する必要があるのですが、ウイルス製品に合わせて感染対策マニュアルを、施設ごとに作成するということが難しい点だと思います。

もともと施設に感染対策マニュアルというものがあり、そこにこの試験特有で必要となってくるマニュアルを追加していく作業が発生し、これが非常に難しかった点だと思います。

その他に、感染対策に必要な物品が多岐に渡り、それを施設側で準備いただくのか、又はこちら側で準備する必要があるのか、という協議を行いつつ、施設ごとに提供物品の準備の手順についても細かく取り決め、記録するという部分に苦労をしました。

具体的に感染防止対策をするにあたって今回の試験ではどんな物品の手配があったんですか?

T.Tさん:マスクや手袋から始まって、簡易トイレや、次亜塩素酸ナトリウムの準備等、挙げだしたらキリがないくらいの物品を準備しました。

簡易トイレまで!? かなり多くの物品準備が必要になってくるのも、ウイルス試験特有なんですね。

T.Tさん:そうです。というのも、ウイルス製品の難しい点の1つとして、治験製品を患者さんに投与した後に、その患者さんからウイルスが外に排出される可能性があるため、治験製品投与後に患者さんから外界にウイルスを拡散させないために、数日間の入院が必須となります。

ウイルスの拡散を防ぐこともウイルス試験において非常に重要なポイントになってきます。

患者さん専用の簡易トイレを用意するのも、ウイルスを拡散しないための手段なんです。どうしても病室のトイレを流さなくてはいけない際は、次亜塩素酸ナトリウムをトイレに入れてもらうといった対処が必要になります。

ウイルス試験は他試験と比べると難しい、と言われる理由が分かった気がします。その他にもウイルスを拡散させないために行った工夫はありますか?

T.Tさん:治験製品投与後に患者さんへ入院をしていただく、ということをお話ししたと思いますが、咳やくしゃみからも人に感染するリスクがあるということから、「個室」を使用してもらうことになっていました。それに加えて、施設によっては普通の個室ではなく、感染対策用の個室を使用しよう、というところもありました。

しかし、新型コロナウイルスの流行で今回の試験で使用を予定していた個室を新型コロナウイルス感染対策用に使用するため、この試験については別の病棟で行わなくてはいけない、という施設もありました。

別の病棟で試験を行わなくてはいけなくなった施設では、別病棟に追加の説明をしに行ったり、施設によっては別病棟での実施も不可となり、積極的な患者さんの登録を控えたほうがいいかもしれない、との意見がでたりと試験を進めることが困難になるという形で影響がありました。

また、これは今回の試験だけに限らないのですが、新型コロナウイルスの流行によって、多くの人がステイホームを心掛け、健康診断や病院へ行くことを控えたと思います。

この影響で、対象患者さんの発見がしづらくなり、候補症例の登録も結果的にしづらくなった、という影響もありました。

治験製品投与後に患者さんへ入院をしてもらうことが必須となると、治験について概要を理解し、納得をしてもらうことが重要になるんですね。

T.Tさん:そうですね、患者さんにもこういった投与後のルール(投与後の数日間の入院をはじめ、ウイルスの拡散防止のために協力をしていただくことがいくつもあること)を守ってもらうことにしっかりと納得し、実際に順守してもらうことが条件でした。

さらに、患者さんに納得いただくよりも大変なことは、治験を進めていく上で実際の対応をしてもらう病棟の看護師さんに、試験を実施することを納得してもらうために十分な説明を丁寧に実施することも非常に重要な作業となりました。

次回に続く。