インテリムのモニターに聞いてみた―症例登録への工夫、コロナ禍への順応―

今回は、当社の再生医療開発領域モニター、K.IさんとK.Oさんにインタビューを行いました。

お二人が経験した再生医療領域のある試験にフォーカスをし、試験実施の難しさや苦労した点、それらをどのように乗り越えたのか、どのような工夫を行ったのか?

また、この試験を経験してどのようなことを学んだのか?について、聞いてみました。

その模様を全2回に分けてお届けをいたします。

是非ご覧ください!

簡単に自己紹介をお願いいたします。

K.Iさん:2014年4月にインテリムへ中途入社をしました。入社後は、外資系製薬メーカーにモニター派遣へ行き、その後当社に戻り感染症の試験(選定~適合性)を経験しました。それから、現在の試験でモニターを担当し、現在はPLを務めています。

K.Oさん:2018年にインテリムへ入社をし、この試験に関わっています。施設立ち上げの時から、この試験を担当しています。

今回担当されている再生医療領域の試験を実施してみた難しさは何でしたか?

試験の難しさとしては、2つありました。

1つ目は、この試験には長期休みをとれる方しか対象に出来ないことです。

この試験には手術を伴うため、期間として2~3週間の入院が必要となりました。このような休みをとれる方が少なく、実際に休みが取れないという理由で試験への参加を断られてしまうケースもありました。

2つ目は、治験に組み入れるための基準が厳しく、治療対象となる機能障害があっても組み入れしてはいけない基準に抵触してしまう患者さんが多く組み入れに苦労をしたことです。

再生医療の領域は、難病や回復が難しい損傷に対する薬剤、治療法のイメージがあります。そうなると、症例数は少ないのでしょうか?

いえ、再生医療の領域全般で症例が少ないというわけではなく、この試験の対象となる症例が少なかったということになります。

患者さんによっては、臨床症状がなかったり、すでに病院にかかっているもののなかなか改善がみられなく、根本的な回復をあきらめていたりとか、症状があったとしても手術を受ける決心がつかず我慢していたりと、様々な要因により症例登録が難しかったというのがあります。

また、これに加えてコロナ禍ということもあり患者さんが通院を控えることが多くなったということも症例組み入れに苦労をした理由の一つだと思います。

新型コロナウイルスの流行の影響も、症例登録の難しさに少なからず影響をしたのですね。他にも新型コロナウイルスの影響は、あったのでしょうか?

これは仕方のないことですが、コロナ禍で一時的に資材(手術着、マスク、消毒液等、手術を実施するために必要な資材)が不足した際に、各施設もコロナ対応に追われたり、今回の試験に必要である手術については、致命的なものではないということから延期すべき手術へ分類されてしまうことがありました。

それは、どういった事情があったのでしょうか?

やはりコロナ対応で、本試験に使用できる病床が減ったというのがあります。

こういう状況は、他の試験でも同じようなことがあったのではないかと思うのですが、本試験は薬剤ではなく手術を必要とする、という点でもコロナの影響を少なからず受けたのだと思います。

そうなると、施設選定、つまり参加していただける施設を探すことも苦労されたのではないですか?

そうですね。もちろん試験開始の段階で参加していただける施設をそろえていることは当然なのですが、臨床試験を進めていき症例登録が芳しくない場合などには、治験を実施していただける医療機関をさらに増やす場合もあります。

今回も治験実施医療機関を追加したのですが、それらの医療機関を探す際には力をいれました。

具体的には、どのような工夫をされたのでしょうか?

チームで今回の試験の「患者さん像」を深く話し合いを行い、その「患者さん像」に当てはまる方はどのような医療機関にいるのか? というリサーチに力を入れて行いました。

色々な病院を調査し、この症状に対する手術実績がありそうな病院をピックアップしたり、すでに参加していただいている病院の先生にもご協力いただいて施設をご紹介していただいたりと、様々な工夫をしましたね。

しかし、前述したように今回の試験の難しさというのは、新型コロナウイルスの流行が直接的に影響したものではなく、組み入れの基準に合致する患者さんが少なく症例が集まりにくいというもともとの要因が大きく占めたのだと考えています。

新型コロナウイルスの流行の影響というよりは、もともとの候補症例が少ないという部分に苦労をされたとのことですが、その中でも候補症例を集めるためにどのような工夫をされましたか?

そうですね。治験を担当してくださる先生方と症例のイメージに対するディスカッションを行ったり、院内に治験ポスターを掲示したり、関連病院への被験者紹介レターを出していただいたりとこれまで担当した試験でもやってきた手法は一通り実施しました。今回初めてトライした手法としては、一部の治験実施施設のエリアで、候補症例を集めるための新聞の折り込み広告を利用したことでしょうか。

新聞の折り込み広告で患者さんを募った、ということですか?

そうです。私も初めての経験でした。

なぜ新聞の折り込み広告に挑戦したのかと言いますと、ある施設の先生と、どのように候補症例を集めるか、ディスカッションをしていた際に「まずはこの試験のことを色々な人に知ってもらうことなのではないか?」とアイデアをいただいたことがきっかけとなります。

いままで使用したことのない斬新なアイデアだったのですが、依頼者さんへ広告使用に関して提案をしたところ、ご了承をいただくことができました。

その後実現に向け、コールセンター立ち上げや新聞広告のデザイン調整、配布地域、配布時期等の調整等の準備に奔走し、企画から約3か月後に折り込み広告配布を実現しました。

折り込み広告の効果は、いかがでしたか?

候補患者さんの来院が多くあり、その中から本登録にも進むという結果にもつながりました。他の広告媒体を使用するよりもリーズナブルな価格にも収まり、候補症例も集まったので、依頼者様にも満足していただき、別の施設でも広告を使用するように調整を進めているところです。非常に良かったと思っています。

新聞の折り込み広告以外で候補症例を集めるためにされた工夫はありますか?

その他の工夫として挙げると、私たちが担当している試験だけに限らないと思うのですが、コロナ禍への順応も早急に行いました。コロナ禍でなかなか施設へいくことができない中でどのように試験の進捗を止めないか試行錯誤を行いました。

たとえば、治験の手順書類をコロナ禍でも試験が滞らないような内容に変更をするといったハード面の整備や、施設立ち上げ時の各施設との面会にも積極的にウェブを活用し、時間を有効活用しながら施設立ち上げを円滑に進めるといった工夫を最大限に行いました。

ウェブであれば、これまで出張して面会させていただいていた、東北の先生と午前中に、九州の先生と午後に面会させていただく、といったことも可能なんですよね。

次回「インテリムのモニターに聞いてみた ―”当たり前”の変化と広範囲へのアンテナ―」に続く。