モニターの仕事に必要となる能力とは?ーインテリムのモニターに聞いてみたー

今回は、前回に引き続き当社のオンコロジー領域を担当するモニター、T.Tさんと、A.Iさんにインタビューを行いました。

お二人が経験したウイルス製剤試験にフォーカスをし、試験を進めて行く上で難しかったこと、工夫したこと、またこの試験を通して実感したモニターに必要な能力とは何か?について聞いてみました。

是非ご覧ください!

ウイルス製剤の治験ということで、看護師さんを説得する上で、具体的にどのようなポイントに苦労されたんでしょうか?

T.Tさん:やはり、ウイルスというワードそのものが、少し怖いですよね。 ましてや病院ともなると、病院内にウイルスを持ち込むのか、と思われるのが自然だと思います。

今回の治験製品は、万が一このウイルスに感染したとしてもそこまでリスクがないものでした。そもそも通常の細胞では感染力を持たない、ということを医師に説明すると、理論上理解していただけるのですが、看護師さん達は、万が一ということも気にされますし、ウイルス製品の原理を説明するのみではなく、万が一の事態でもリスクが少ないということなどを伝えることで、時間はかかりましたが安心していただくことができました。

具体的には、どのように説得したんでしょうか?

T.Tさん:まず、試験の説明をする際のプレゼン内容として、ウイルス製品がどのようなものか?という説明から入るのですが、医師へのプレゼンと看護師さんへのプレゼンでは話し方を変える、例えば話す順番を変えるなどの工夫をして、説明を行いました。

順番を変えた、と言いますと、内容は変わっていないのでしょうか?

T.Tさん:もちろん事実のみをお伝えする必要があるので、話の内容を変えてはいませんでした。

ただ、どのポイントをどんな流れで説明するかを変えて、相手に受け入れていただきやすくするという工夫をするようにしました。

看護師さん達には、このウイルス製品のリスクはそこまで高くなく、危なくない、ということを冒頭で伝えて、安全性を強くアピールできるようにプレゼンの工夫をしました。

また、看護師さんから試験に関して質問をされた時に、しっかりと回答ができるよう、ウイルスに関する知識は、さらなる勉強をして習得するようにしました。

どのような質問がでたのですか?

T.Tさん:治験に関係ない人や、看護師に感染をした際にはどうするの?といった質問がありました。

その場合には、事前に準備や保証を決めており、過去のデータから第三者に移ることはほぼないが、感染した場合の保証について説明をしたり、検査を行って速やかに対応をするということを説明しました。また、本ウイルス製品に遺伝子改変が生じた場合の人体への影響についての質問には、データに基づき人体に悪影響を及ぼすような遺伝子改変が生じる可能性は極めて低いことを説明し、納得をしていただきました。

看護師さんへの説明を行い、試験実施に納得していただく、という経験から何か得たことはありますか?

T.Tさん:看護師さんをはじめ、色々な診療科との調整を行うために説明をするという経験を経て、

入念な「事前準備」の必要性を痛感し、より細かい対応を想定した事前準備を行うようになりました。

色々な角度から受ける質問を全てまとめ、チームで共有し、どのような質問が来るか、という傾向を把握して、質問が来ることを前提に回答の準備や回答の練習をしたり、といった事前準備を入念に行うようになりました。

Q&Aをチームで作成し、回答について詳しく勉強をして、説明会に臨むようにしています。これはチームだけではなく、会社としてのウイルス試験に関するナレッジの蓄積にもつながってくるのかなと考えています。

感染対策について説明をする方は、医師や看護師以外にもいたのですか?

T.Tさん:はい。感染対策のやり方・あり方を協議しなくてはいけないため、施設の感染対策部門に試験の説明をし、感染対策マニュアルの調整について承諾をいただきに行ったり、その他の部署にも多岐に渡る理由で何度も通いました。

医師というより看護師さんやその他の部署の方々との調整に時間をかけました。

他の試験でもこのように他の部署に通うのが普通ですか?

T.Tさん:いえ、今回の試験は、特に多くの部署への説明が発生したと思っています。

他の試験であれば、責任医師と実施診療科と治験管理室・治験事務局が主で、その他の部署等には説明に行かなくても、医療機関の中で情報共有をしてくださることが多いのです。

ただ、今回はウイルス試験ということもあり、この試験がどの程度影響力(ウイルスの拡散や、ウイルスが万が一拡散した場合の危険度等)があるかについて、医師に行う説明を関係する部署へも直接行って説明をしてほしいとのことだったので、普段では行かないような部署へも自ら提案し説明に伺いました。

インテリムのCRA研修では、一流のモニターとしてお役に立てるよう、様々な場面におけるロールプレイングも行っていますが、その経験もきっと活きたんですね。

T.Tさん:そうですね。インテリムの研修が単なる知識の詰め込みであったなら、この試験を推進していくことはできなかったと思います。いろいろと臨機応変にやらなければならないことが多かったものですから。

モニター(CRA)導入教育・研修 | サービス | 株式会社インテリム

インテリム独自の教育・研修プログラムにより、臨床開発支援スタッフ(モニター、モニタリングサポート、CRC等)を育成し、製薬企業の開発部門、CRO、SMOの開発支援を行ないます。

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施設、各部署との交渉であったり、SOP整備サポートであったり、想像していたよりもかなり広範囲の業務であったので、モニターとして必要なスキルは問題が起きたときに柔軟に対応できる能力が必要で、そこに対して自分はどうやってアクションをしていく必要があるか、ということを意識して行動することが大事、ということを今回の試験から学ぶことができました。

A.Iさん:型にはまって着々と進めていくという試験もあるにはあると思うのですが、この試験については立ち上げの時の医師への提案や、数多くの部署との交渉、それらをクリアしてなんとか困難な状況も打破していく必要があったので、困難に直面した時に対処するスキルが必要な試験だったなと感じます。

どの試験でも、今まで経験したことがないような新しい要素やゼロベースで覚えていくことが入ってくることはあると思うのですが、こちらの試験では、メインのモニター業務があって、交渉・施設もゼロから、チームもゼロからと、ゼロベースというのが大部分を占めていたので、特に難しかった試験であったと思います。

モニターという仕事は、ゼロから何かを生み出す能力が必要な仕事だと思うのですが、この試験は、まさにこの能力をフルで発揮しないとついてくることができない案件であったと思います。

この試験を経験していく上で知識以外で身に着けたことはありますか?

T.Tさん:この試験だけに関わらないのですが、「状況と相手を意識したプレゼンのやり方」について、特に勉強をしました。

この試験にアサインをされてから、施設で説明をする機会を最初から多くいただいたのですが、自分としては、うまくいかなかったな、と思う時もありました。なので、プレゼンについて勉強をし、プレゼン前には入念な事前準備と練習をするようになりました。

実際に医師の方に行った説明内容を、クライアントさんから褒めていただいたこともあるんですよね?

T.Tさん:そうですね、褒めていただきました!

スライドの移り変わりがスムーズになるような資料作成、あとはオンラインであるからこそ対面のプレゼンよりも先生の表情を深く観察したり等といった工夫をしましたのですが、気に入っていただけて、とてもうれしかったです。

それでは最後に、今回のような難しいと言われているウイルス試験を経験してみて「良かった」と思ったことがあれば教えてください。

T.Tさん:この試験、難易度の高いもので大変な部分も多くあったのですが、医療機関のいろいろな部署の人と協議をしたり、説明をしたりということが非常に多く、これらの経験が非常に訓練となって、医師の方や看護師の方それぞれの視点であったり、その他の部署の方の視点であったり、多角的な視野を持つことの重要性を認識することもできたので、今後のモニター人生を歩んでいく上で非常に良い経験なったというのが良かった点だと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
インテリムは、オンコロジ―専門CRAの人財育成に力を入れており、今回インタビューをしたT.Tさんに限らず、「オンコロジー・スペシャリスト&エキスパート認定制度」に合格した専門知識豊富なCRAのみが、お客様のオンコロジープロジェクトに関わります。

認定試験に合格した後も、社内で実施する専門的な継続研修や、オンコロジー領域の主要学会への参加を通じて、最新情報の研鑽を絶えず続けております。

多くのオンコロジー専門知識豊富なモニターの在籍により、一般的な試験はもちろん、難易度の高い試験等、広範囲で対応可能ですので是非インテリムにご相談ください。