看護師からCRAへ|成功するためのポイントは?

看護師からCRAになることを目指す方もいるでしょう。

しかし、「看護師からCRAになることができるのか」「どのようなスキルを求められるのか」などに不安を感じて、転職活動を思いとどまっている方もいるかもしれません。

看護師としての経験は豊富であってもCRA(臨床開発モニター)として働くためには、別のハードルがあります。

そこで本記事では、看護師からCRAに転職するためのポイントを解説します。看護師からCRAへの転職を検討されている方は、参考にしてみてください。

CRAへの転職時に強みとなる経験とは

CRAになるために必要な資格はありませんが、いくつかの経験が求められる場合があります。

そこでCRAになるために強みとなり得る経験について詳しく解説します。

医療業界での経験

医療業界での経験は、CRAを目指す上で強みになる可能性があります。例えば、医療用語や患者様に関するデータを正確に理解・応用し医療現場で働いてきた経験などが挙げられます。

医療現場での業務経験があれば、専門用語を含む会話も円滑に行うことが出来るのでCRAとしての業務を行う上で医師や看護師とのコミュニケーションもスムーズに進むでしょう。

よって医療業界での経験は、CRAの業務を効率よく進める上で役立つ経験と言えるでしょう。

さまざまな関係者とコミュニケーションを取る経験

コミュニケーション能力はCRA業務で求められるスキルであるため、活かすことが出来ます。

CRAの業務では、医師や製薬企業(CROに所属する場合に限る)といった、多くのステークホルダーとやり取りを行う必要があるためです。またプロジェクト内でのスムーズなコミュニケーションが円滑な試験進行に繋がる場面もあります。

看護師は医療現場を深く理解しているため、CRAになった際に各ステークホルダーの立場を理解した上で治験を進めることができ、コミュニケーションも円滑に行いやすいと言えるのではないでしょうか。

高い倫理観と規制遵守

CRAは臨床試験に関する法令をきちんと理解し、厳守することが必要です。

そのためCRAとして働くためには、規制と倫理を遵守して働いてきたという経験が役立ちます

医薬品の臨床試験において、治験を倫理的かつ科学的に実施し、その信頼性を確保するための基準としてGCP(Good Clinical Practice:医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)が制定されています。

GCPは、人を対象とした臨床試験が被験者の人権の保護と安全の保持と福祉の向上を図り、治験の科学的な質や成績の信頼性を確保することを目的として、治験・製造販売後臨床試験に関する計画・実施・モニタリング・監査・記録・解析及び報告等に関する遵守事項を定めたものです。

CRAはこのGCPを理解し、遵守した上で臨床試験を進めていくことになります。CRAも看護師も人の命や健康に関わる職業であることから高い倫理観が求められる点が共通しています。

看護師がCRAに興味を持つ理由

近年では看護師からCRAへの転職に興味を持つ方が多くなってきました。
その理由には何が考えられるのでしょうか。

ここでは看護師がCRAに興味を持つ理由について紹介します。看護師からCRAに転職しようと考えている方はぜひ参考にしてみてください。

看護師の経験が活かせるため

まずCRAに興味を持つ理由の一つは、看護師の経験がCRAに活かせるためです。

CRAの業務は主に治験が法令に基づいて適切に実施されているかや、進行状況に関するモニタリング業務を行います

ただしCRAは治験に参加する患者様と直接やり取りをすることはないので、治験の現場に関することは医師や看護師・CRCなどから情報収集をします。

看護師は医療現場を深く理解しているため、CRAになった場合は実施医療機関の立場を配慮したコミュニケーションを取ることができるでしょう。

また、CRAは医療機関とさまざまな調整を行うため、コミュニケーション能力も求められます。医療現場で培ってきた看護師の経験はこのようなコミュニケーションの際にも役立つでしょう。

医療業界、特に看護師としての医療現場に関する経験を活かせるCRAは、看護師にとってキャリアチェンジの一つとして興味を持つ対象となっているのではないでしょうか。

キャリアアップのため

CRAに転職すると、看護師の経験をベースに新たなキャリアパスが広がるでしょう。それはCRAとして働く過程で、看護師では必要のなかった医薬品開発に関する専門知識やスキルを学ぶことになるためです。

そのため、看護師からCRAに転職することは自身のキャリアの可能性を広げるチャンスとなるでしょう。

例えば、CRAの経験をベースに医薬品開発の上流から関わる仕事や、CRAの人材育成や医薬品開発の戦略を練るポジションなど、さまざまなキャリアの選択肢があります。

看護師がCRAとしてキャリアをスタートさせることは自身の経験の幅を広げ、キャリアアップをするチャンスになるかもしれません

そのため、将来的なキャリアを検討する上でCRAに興味を持つ方が多いのかもしれません。

ワークライフバランス改善のため

看護師は業務の特性上、夜勤を含めたシフト制の勤務形態があるため、生活リズムが不規則になることもあるでしょう。

そのため、医療には携わりたいものの、ワークライフバランスも重視したいという想いから、CRAという職種に魅力を感じる人も多いかもしれません。

CRAは企業に所属することがほとんどであるため、主な勤務地はオフィスとなります。

そのため夜勤はなく、業務が比較的落ち着いている時は終業時間に合わせて退社が可能で、土日祝はカレンダー通りの休みとしている企業が多いことが特徴です。

そのため、看護師としてのワークライフバランスに不安を感じることがきっかけとなりCRAに興味を持つのかもしれません。

看護師からCRAの転職が難しいと言われる理由

看護師から未経験でCRAに挑戦する場合、理解をしておくべき点がいくつかあります。ここでは、CRAを目指すにあたって見えてくる壁や厳しさについて深く掘り下げていきますCRAへの転職を成功させるにあたって、障壁となりうる点を事前に知っておきましょう。

求められる経験・スキルの違い

CRAを目指す際の障壁の一つが、企業側が求める経験と応募者が持つ経験やスキルとのギャップです。病院と企業とでは、応募者に期待するスキルに違いがあります。

病院ではチームでの連携が重要視されることが多く、企業では基本的なビジネススキルの他、自分自身でプロジェクトを推進する自主性を持ちつつ、ステークホルダーを含めた社内外との円滑なコミュニケーションを図ることが出来る人材が求められます。

病院での実務経験だけではなく、その実務経験を活かして企業でも活躍できる点をアピールをすれば、転職の成功可能性を高められるかもしれません。

競合する多様な職種

CRAに応募する求職者は看護師だけではありません。薬剤師やMR(医療情報担当者)など多種多様なバックグラウンドを持つ人たちも該当します。

CRAは医療従事者と対等に仕事を行わなければならないため、専門職に近い高度な知識を求められることがあります。その点薬剤師は、大学時代に学んだ知識や薬剤師として病院に勤務した経験が強みとなることがあります。

このようにCRAに応募する求職者は看護師以外にも多くいます。自分とは違ったバックグラウンドを持つ求職者と差別化を図るためには、自分の強みを明確にし、うまくアピールすることが不可欠です。

丁寧なチェック力

CRAの業務では、臨床試験の内容やデータが法令・計画に遵守されているかを正確に確認することが非常に重要です。

臨床試験のデータに不備があれば、試験そのものの信頼性を損なってしまったり、治験全体のスケジュールにも影響を及ぼす可能性が生じます。

そのためデータや資料等を丁寧にチェックする力はCRAの仕事で非常に重要なスキルでしょう。

看護師が個々の患者様のケアに注力するのに対し、CRAは臨床試験の開始から終了までに発生する手続きを行ったり、担当する臨床試験が法令や実施計画を遵守して進められているかを確認する役割です。

この役割を担うためには、プロジェクト全体をイメージしながらきめ細やかにデータや資料をチェックすることが必要です。

従ってCRAは看護師とは異なり、”データに不備がないかを丁寧に確認する”というスキルが必要と言えるでしょう。

看護師からCRAに転職するときの留意点と対策

看護師からCRAへの転職は、キャリアの新たなステップとして注目されていますが、転職の際には多くの注意が必要です。

そこで、看護師がCRAにスムーズに転職するための留意点と対策について紹介します。ポイントを理解し、計画的に行動することで看護師からCRAへの転職に役立てましょう。

働き方の違い

看護師からCRAへの転職に際して留意すべきは、働き方の違いです。看護師は、病院やクリニックで勤務をし、患者様のケアに従事します。

一方でCRAの仕事はデスクワークがメインです。外勤も発生するため、働き方は看護師とは大きく異なります。

看護師とCRAの職場での働き方の違いを理解し、実際に働く際のイメージをすることも転職時の留意点といえるでしょう。

スキルのギャップ

看護師からCRAに転職する際の障壁の一つに、業務に必要なスキルのギャップがあります。

先述の通り、CRAではデスクワークがメインとなります。そこで求められるスキルは具体的にいうと、報告書の作成や医薬品開発に関する専門知識です。

また、国際的な臨床試験を担当する場合は、英語でのコミュニケーション能力も求められるでしょう。

これらのスキルは一般的に、看護師として働く上で必ずしも求められないスキルです。そのため、CRAを目指す際に新たに勉強し習得する必要があると言えるでしょう。

看護師がCRAに転職するために押さえておきたいポイント

CRAとして働くためには、その他にも多くの準備が必要といえます。そこで、CRAに転職するために押さえておきたいポイントについて詳しく解説します。

転職前の十分なリサーチ

CRAに転職するためには、業界の特性と必要なスキルを深く理解することが不可欠であるため、転職活動前の十分なリサーチは、CRAへのスムーズな転職を実現するポイントとなるでしょう。

まずは医療・医薬品業界や、CRO業界の動向を研究し、その上で医薬品の承認プロセスや医療機器の開発、業界内で求められる知識やスキルなどについて勉強を深めておくと更に良いでしょう。

次に、十分な自己分析が重要となります。
看護師の経験はもちろん大きな価値があるものですが、その経験や自身の意向などを改めて見直して、CRAに求められる”正確に情報を取り扱うスキル”やコミュニケーション能力などに関して自身が持つスキルとのギャップや、活かすことの出来る経験について振返ってみましょう。

業界リサーチと自己分析を入念に行うことで、より確実な転職につながる可能性を高めることができるでしょう。

他の職種との差別化

看護師はCRAと同じく医療に携わる職種ですので、CRAへの転職を考える際には、看護師としての特長や経験を活かせるというアピールをすることが大切です。

CRAのポジションへは、薬剤師やMRといった他職種からも応募があるため競争が激しく、他の職種の候補者との差別化を図るためには、自分の強みを明確に把握し、それを適切にアピールすることが重要です。

自分が持つスキルや経験をCRAとしてどのように活かしていくのかを採用担当者に伝えることが、CRAとしての道を切り開く鍵となるでしょう。

志望動機で医療関連の知見をアピール

CRAに転職する際の志望動機には、看護師として医療現場で培った経験はアピールポイントになるでしょう。

経験をアピールする場合には「医薬品開発に興味があることに加え、実際の医療現場で看護師として臨床試験に携わった経験がある」といった内容が挙げられます。

単に「興味がある」と述べるよりも、自身がCRAとして活躍できるということを経験と併せてアピール出来るとよいでしょう。

企業文化の理解

看護師がCRAに転職を考える場合、転職先で必要な技術やスキルだけでなく応募先の企業のカルチャーについても事前に理解を深める必要があります。

病院と企業とでは、働き方や企業カルチャーに大きなギャップがあることも多いためです。
病院ではチームでの連携が強調されることもありますが、企業では自分自身でプロジェクトを推進する自主性を持ちつつ、ステークホルダーを含めた社内外との円滑なコミュニケーションを図ることが出来る人材が求められることが多々あります。

このような違い等について、事前に理解をしておくことで入社後のギャップを最低限に抑えることができるでしょう。

企業カルチャーを理解した上で、自分の強みを活かすことが出来そうか、自分が思い描くキャリアプランを実現できそうか、といった観点で企業研究を行うことで、転職の成功率を高めることはもちろん、入社後のギャップを少なくすることが出来るでしょう。

まとめ:看護師からCRAに転職するために必要なこと

看護師からCRAに転職する際には、いくつかのポイントを押さえる必要があるといえます。

看護師とCRAの働き方、求められるスキルや知識の違いについて理解する等、ひとつひとつの確認が重要です。
本記事で説明した各項目は、看護師がCRAに転職するために必要なポイントになるでしょう。

特に、自分の強みを正確に伝えるためには、どのような表現が適切かを検討したり、企業カルチャーの深い理解は、自分とは異なるバックグラウンドを持つ候補者と差別化を図る上でも強みになるでしょう。

転職を検討している方はぜひ、本記事を参考にCRAへ挑戦してみてください。