インテリムの研修から、統計解析を学ぼう(前半)

「統計解析」といえば、皆さんから難しい、本を読んでもよく理解できないという声を耳にします。

そこで今回は、弊社のオンコロジー領域研修の統計解析箇所を抜粋し、内容をご紹介いたします。

インテリムで行っている研修についてご理解頂くのと同時に、少しでも統計解析にご興味をお持ち頂けると幸いです。

また本テーマは、前半、後半に分けて、掲載致します。

オンコロジー領域の主な統計手法  ~カプランマイヤー推定法~
とある新人モニターAさんの研修日記


新人モニターAさんは、がん領域の治験に配属され疾患領域の勉強をしています。

今日はがん領域の臨床論文によく出てくるカプランマイヤー曲線の社内研修です。

カプランマイヤー推定法で取り扱うデータ①


研修講師:今日はカプランマイヤー曲線の勉強をします。

まずカプランマイヤー曲線で取り扱うデータの特徴について説明します。

カプランマイヤー曲線は興味のあるイベント発生までの期間のデータをもとに作成されます。

ただし、実際に臨床試験を行うと以下の理由でイベント発生まで追跡が出来ない症例が発生します。

・興味のあるイベント発生を待たずに臨床試験の観察期間が終了

・試験期間中であっても興味のあるイベント発生以外の理由で追跡が出来ない このようなデータをセンサー(打ち切り)といいます。

このセンサーの概念を理解できるかがカプランマイヤー曲線を理解するうえで非常に重要になります。

○研修講師:本日の目標は以下の2つとします。
①カプランマイヤー曲線を描けるようになる
②生存率の算出を行う上での重要な仮定を理解する

○研修講師:本日取り扱うデータは以下のようになります。

●イベント(死亡)が発生した症例:症例A、B、C

●イベント(死亡)が観察終了時点まで発生しなかった症例: 症例D

→センサー(打ち切り)として取り扱う

●イベント(死亡)が発生したか分からない症例:症例E

→センサー(打ち切り)として取り扱う

カプランマイヤー推定法で取り扱うデータ②


研修講師:では先ほどの4例のデータをまとめてみましょう

カプランマイヤー曲線を引いてみる


○研修講師:イベントが発生した時点で生存率が下がり、センサーが発生した時点でセンサーの表示(この例では+が表示)されます。

このカプランマイヤー曲線の例ではイベントが発生した1年、2年、3年の時点で生存率が下がり、センサーがあった1.5年、2.5年の時点で生存率は変化がなくセンサーの表示のみされてます。

カプランマイヤー曲線の生存率の計算①


死亡(イベント)があった時点:t1、t2…

t1時点での死亡数d1

t1時点直前のリスク集合の大きさをn1

t2以降も同様

○研修講師:数式で出されてもわかりにくいと思うので先ほどの例を用いて実際にやってみましょう。

a)1年未満
死亡は全く発生していません

b)1年
死亡が1例発生します。

カプランマイヤー曲線の生存率の計算②


c)1.5年
センサーが1例発生します。

1.5年でセンサーは発生するが、センサーが発生しても死亡が発生しなければ生存率は変化しない
→生存率は(b) と同じになる

d)2年
イベントが1例発生します。

カプランマイヤー曲線の生存率の計算③


e)2.5年
センサーが1例発生します。

f)3年
イベントが1例発生します。