2025.10.30

プレスリリース

東京科学大学病院が「SNAP試験」における日本国内初症例を登録 〜革新的な感染症臨床試験が日本で始動〜

レメディ・アンド・カンパニー株式会社 (東京都千代田区 代表:浮田哲州、以下、「弊社」)は、当社が日本国内での運営支援を行う国際共同感染症臨床試験「SNAP試験(Staphylococcus aureus Network Adaptive Platform trial)(試験ID:jRCT1031240421)」において、東京科学大学病院が日本国内初の症例登録を達成したことをお知らせいたします。

SNAP試験は、黄色ブドウ球菌菌血症を対象とした大規模な国際共同研究であり、オーストラリア・メルボルン大学が統括しています。黄色ブドウ球菌菌血症は、医療現場で頻繁に確認される重篤な感染症であるにもかかわらず、標準的な治療法が確立されておらず、医療機関ごとに異なる抗菌薬レジメンが使用されているのが現状です。

本試験では、複数の治療法を同時かつ迅速に評価できる「プラットフォーム試験(Platform Trial)」に加え、試験途中で柔軟に設計変更が可能な「アダプティブデザイン(Adaptive Design)」を組み合わせた革新的な試験設計を採用しています。さらに、実臨床に近い条件で実施される「プラグマティック試験(Pragmatic Trial)」として、患者の組み入れ基準や治療制限を最小限に抑えることで、医療機関の人的・金銭的負担を軽減しつつ、実際の医療現場に近い環境での知見を得ることができます。

このような試験設計は「Complex Innovative Trial Design(CID)」と呼ばれ、従来は小児や希少疾患領域での治療法開発に活用されてきましたが、感染症分野においてもその有用性が注目されています。CIDは、試験の迅速な立ち上げや、変異株・治療候補の変化への柔軟な対応、そして実臨床に近い環境での有効性評価を可能にすることから、パンデミック時の臨床開発における有力なツールとして期待されています。

当社は、感染症領域におけるグローバル開発プラットフォーマーとして、グローバルサウスを中心とした国際的な研究ネットワークの構築と、CIDをはじめとする革新的な試験デザインの導入を通じて、パンデミック時における薬剤開発の迅速化、すなわち「100日ミッション*」の達成に向けて、今後も積極的に貢献してまいります。

*100日ミッションとは
新たな感染症について、世界保健機関(WHO)が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言してから100日以内に、「危機対応医薬品等(Medical Countermeasures:MCM)」の実用化(迅速診断薬の承認、安全で有効なワクチンの承認、治療法の確立など)を達成しようという国際的な目標です。新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により浮彫りとなった課題を受け、2021年6月にイギリスで開催されたG7サミットで「100Days Mission(:100DM)」として提唱されました。

■「感染症グローバル開発プラットフォーム」とは?

~既存感染症や新興ウイルスに対し、100日以内に安全で有効なワクチンや治療薬の開発・実用化を支援するプラットフォーム~

熱帯地域に多く見られるデング熱などのNTDs、結核やマラリア等の三大感染症といった現存する感染症の迅速な臨床開発や、未知のウイルスによるパンデミックが発生した際に100日以内で安全かつ有効なワクチンや治療薬などの開発・実用化を支援するために提供を開始したサービスです。

イメージ図

平時から東南アジアや南米、アフリカで合計15万人規模の被験者候補を獲得しておくことで
・被験者のリクルートメント期間の短縮
・短期間で構築が可能なデータ収集システムの提供(MUGEN EDC)
などの、有事においても迅速な臨床開発を可能にするために必要な要素を盛り込んでいます。

また、世界各地域に見られる感染症実態や人種特性等のノウハウ、新型コロナウイルスのパンデミック禍で実施した海外での大規模臨床試験の実績、世界各国の研究機関やCRO・SMO・各感染症のKOLとのネットワークを有する弊社ならではの強みを活かすことで、時間やコスト等お客様のニーズに合った最適な臨床試験実施国・臨床開発プランの設計・提案を行います。

対象となる感染症・医薬品:
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、デング熱、結核、インフルエンザ、マラリア、寄生虫、薬剤耐性治療薬、ワクチン、体外診断用医薬品

*NTDsとは
「顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases )」の略称であり、世界保健機関(WHO)が「人類が制圧しなければならない熱帯病」としている疾患を指します。水の安全性や衛生環境、ヘルスケアが整っていない世界の貧困地域に蔓延し世界で10億人以上が罹患していると言われており、個人の生活や経済を困窮させるだけでなく、その国や地域全体が貧困から脱出できない原因にもなっています。社名変更を機に、CROの枠を超え世界のヘルステックプラットフォーマーを目指し新たなスタートを切りました。レメディ・アンド・カンパニーは最新のテクノロジーとXR技術を駆使しながら、あらゆる医療課題を解決すべく日本から世界へ向けて事業を展開しています。
サービスページ:https://remedylp.wixsite.com/global-platform

レメディ・アンド・カンパニーについて
レメディ・アンド・カンパニー株式会社は、2005年に設立したCRO事業を展開する株式会社インテリムを前身とし、2018年に設立しました。株式会社インテリムをはじめ、国内外のグループ各社を牽引する中核として、国内外の医薬品開発における革新的ソリューションの創出に取り組んできました。
グループ会社:株式会社インテリム(CRO事業)、ジョッブス株式会社(PV事業)、iRIS株式会社(SMO事業)、レメディ・クロスリアリティ株式会社(DX事業)
グループ拠点:7カ国 プロジェクト実施国:42カ国(2025年10月現在)
詳しくはこちらをご覧ください:https://www.remedy-company.com/

<このプレスリリースに関するお問い合わせ先>
レメディ・アンド・カンパニー株式会社 広報グループ
TEL: 03-5299-7011