3カ国のケーススタディ希少疾患に関連する利点と規制関連事項
日本における希少疾患について
厚生労働省によると、日本における希少疾患は5万人未満または2500人に1人未満の割合で発症するとされており、医薬品の指定や承認は個別事例ごとに決定される(1, 2)。
日本では、独立行政法人医薬基盤研究所(NIBIO)が、希少疾患用医薬品・医療機器の申請者に助成金を交付している。また、オーファンドラッグ関連の申請の場合、PMDAの相談手数料が減額され、NIBIOの助成金交付期間について研究費の12%を税額控除として請求することができる(NIBIOが交付する補助金は含まれない)。
更に、NIBIO、PMDA、MHLWは、希少疾患関連の医薬品・オーファンデバイスの迅速な承認を行うため、効率的な支援を行う。
希少疾患/オーファンデバイスが承認されると、再審査期間が延長され、医薬品は最大10年、医療機器は最大7年まで延長される。
シンガポールにおける希少疾患について
シンガポールではオーファンドラッグの定義が曖昧な場合があるが、健康科学庁(HSA)によると、以下のような特性を持つ医薬品は優先される。
- 国内に他に安全な代替品がないことを前提として、生命を脅かす疾患の治療に使用できる
- 一部の癌や感染症などの疾病で、地域の公衆衛生上の懸念がある状況に置かれている
- 希少疾患に罹患している患者数が現在時点で少ない
- 疾患・状態に罹患している患者数の概算を示すことができる
上記のような条件を満たし、保健省によりオーファンドラッグに指定されると、医薬品登録の際に優先して迅速な審査が行われる。オーファンドラッグが承認されると、10年間の販売独占権が与えられる。目下のところ、シンガポールにおけるオーファンドラッグの保険償還は非常に困難である(3)。
タイにおける希少疾患について
現時点では、タイ保健省(MoPH)もタイ保健省食品医薬品局(Thai FDA)も、「希少疾患」の明確な定義を規定していない。
タイにおける希少疾患用医薬品の定義は、希少疾患と国内の医薬品不足の両者をともに……